Galaxy S24シリーズの“7年アップデート保証”、もう揺らいでない?—OneUI 7遅延と4か月パッチ空白を数字でチェック

(画像引用:Samsung)

「最高のスマートフォン体験を、より長く」――。SamsungがGalaxy S24シリーズで高らかに宣言した「7年間のOSアップデート・セキュリティパッチ提供」。しかし、その約束は日本で早くも揺らいでいる。

日本版Galaxy S24 シリーズのスマートフォンをお持ちの皆さん、お手元のデバイスのソフトウェア情報を確認いただきたい。

この記事を執筆している2025年5月7日現在、OneUIのバージョンは6.1のまま、そして驚くべきことにセキュリティパッチは2025年1月1日付けで止まっている。(少なくともメーカー直販版はそうなってる)

OneUI 7(Android 15ベース)のグローバル配信が各国で進む中、なぜ日本だけが取り残されているのか?そして、4ヶ月以上もセキュリティパッチが放置されていることの危険性とは?

この記事では、公式情報や客観的なデータを基に、日本版Galaxy S24 Ultraが直面している深刻なアップデート遅延問題とそのリスクを徹底的に掘り下げていく。

約束と現実:Samsung「7年保証」はどこへ?日本版S24 Ultraの悲惨な現状

SamsungはGalaxy S24シリーズ発表時、ユーザーに長期的な安心材料を提供するため、「7年間のOSメジャーアップデート」と「月次セキュリティパッチ」という異例の長期サポートを約束した。

これは、高価なフラッグシップモデルを購入するユーザーにとって、大きな魅力となるはずだった。

しかし、日本版S24 Ultraの現実は、この約束とは程遠いものとなっている。

項目公約(2024年1月)日本版の現状(2025年5月06日)
OSアップデート年1回
Android 21まで(2031年)
0回
(One UI 7/Android 15 未配信)
セキュリティパッチ月次配信4ヶ月未配信
(2025-01-01で放置)

Source: Samsung Update Tracker

OneUI 7は、Android 15をベースにGalaxy AI強化やUI刷新を特徴とする大型アップデート。グローバル市場では配信が進む中、日本は取り残されている。Xでは「S24 Ultraなのにパッチが1月」「日本だけ無視?」とユーザーの苛立ちが広がっている。

グローバル展開と日本の空白:配信タイムライン

One UI 7のグローバル展開は以下のように進行している:

  • 2025年4月7日: 韓国市場で配信開始(ただし、Exynos版で指紋認証の不具合が発生し、一時停止)
  • 2025年4月17日: 韓国市場で修正版(ファームウェアバージョン: S928NKSU1BXDH)の配信を再開
  • 2025年4月20日: ドイツ、インドなどの主要国で配信開始(ファームウェアバージョン: S928BXXU1BXDE)
  • 2025年4月25日: 米国市場で配信開始(ファームウェアバージョン: S928USQU1BXDF)
  • 2025年5月7日現在: 日本市場では配信予定のアナウンスすらなし(公式告知ゼロ)

主要市場では、一時停止があった韓国でさえ10日後には再開され、他国も迅速に追随している状況。

しかし、日本に関しては配信計画が一切明らかにされておらず、ユーザーは情報がないまま放置されている状況が続いている。(高い端末料金を払ってるのに!)


セキュリティの空白:4ヶ月の遅延が招くリスク

OneUI 7の遅延以上に深刻なのが、セキュリティパッチの長期間にわたる放置なんだ。これは、Galaxy S24 Ultraというフラッグシップモデルの信頼性を根底から揺るがす大問題と言える。


Samsung自身が公開しているセキュリティ情報「Samsung Mobile Security Bulletin」によると、2025年2月から4月の間だけで、合計141件の脆弱性(CVE)が報告されている。その内訳は、最も危険度が高い「Critical」が7件、次いで危険な「High」が104件だ。

これらの脆弱性は、悪意のある第三者によって、個人情報の窃取、不正な遠隔操作、マルウェア感染などの深刻なセキュリティインシデントを引き起こす可能性がある。(要するにヤバい脆弱性が何ヶ月もずっと放置されてるって状況)

比較対象として、GoogleのPixelシリーズは、2025年5月5日付けのセキュリティパッチでこれらの脆弱性の多くに対応済みだが、日本版Galaxy S24 Ultraは これらの脅威に対して現在も無防備な状態が続いている。


さらに深刻なのは、米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)が管理する「Known Exploited Vulnerabilities (KEV) Catalog」リスト(実際に悪用が確認された脆弱性リスト)に掲載されている脆弱性のうち、Samsungが報告したCVEと重複するものが複数存在し、その中にはリモートでコードが実行されるゼロデイ攻撃の対象となりうるものも含まれていると指摘されている。(要するに既に悪用された事例があるってこと)

Galaxy S24 Ultraは、FeliCaを利用した非接触決済、ビジネスメールの送受信、大量の個人情報や機密情報を扱うための高性能デバイスだ。日常的に金銭取引や重要通信に利用されるこの端末が、4ヶ月以上も既知の脆弱性に晒され続けているという事実は、1年の型落ちとはいえプレミアムスマートフォンとしての価値を著しく損なうものであり、ユーザーに対する重大な背信行為と言っても過言ではない。

Source: Samsung Mobile Security Bulletin

遅延の要因:推測される技術的障壁

日本版のOSアップデートが他国と比較して著しく遅延する背景には、日本市場特有の事情が複雑に絡み合っていると推測される。主な要因として考えられるのは以下の3点だ。

1. キャリアアプリとAPN設定の複雑な検証プロセス

日本の通信キャリア(NTTドコモ、auなど)向けに提供されるモデルだと、キャリア独自のプリインストールアプリが多数(29種類以上)搭載されています。これらのアプリの動作検証に加え、APN(アクセスポイント名)設定やVoLTEといったキャリア固有機能が、新しいOSバージョンでも問題なく動作するかを確認する作業は膨大で、時間を必要とする。

2. FeliCa関連の再認証プロセス

OSアップデート時にNFC Secure Elementドライバが更新されると、FeliCaを使った決済機能(モバイルSuica, QUICPay, iDなど)の再認証が必要になる。

3. 技適認証の再手続き

OSアップデートによって、Wi-FiやBluetooth、特に4G/5Gといった携帯電話ネットワークの無線出力に関連する制御ソフトウェアに変更が生じた場合、電波法に基づき、総務省への再届出や認証の再取得が必要になるケースがある。ただ、通常のOSアップデートでは無線ハードウェアの仕様変更を伴わないことが多いため、この要因の影響度は限定的との見方もある。

他社との比較:S24 Ultraの異常な遅延

主要なAndroidスマートフォンの最新セキュリティパッチ適用状況を比較すると、日本版Galaxy S24 Ultraの遅延がいかに異常であるかが浮き彫りになる。

機種最新パッチ遅延日数
Google Pixel 8 Pro2025-05-051日
Sony Xperia 1 Ⅵ2025-04-0135日
ASUS Zenfone 112025-03-0166日
Galaxy S24 Ultra2025-01-01126日

Google Pixelがほぼリアルタイムで最新パッチを提供するのに対し、Galaxy S24 Ultraは126日もの遅延。これは、同じく国内メーカーであるSonyのXperiaや、ASUSのZenfoneと比較しても突出して遅い結果だ。

このデータは、Samsungの日本市場におけるアップデート対応の優先度が低いのではないか、というユーザーの疑念を裏付けるものと言えるかもしれない。

結局何が言いたいのか?

何が言いたいかって言うと、高い金を払ってるのだからちゃんとアップデートしてくれSamsung‼︎ってこと。

多くのユーザーが「7年間の長期サポート」というSamsungの言葉を信じて購入を決断したはず。

なのに発売からわずか1年余りで、その約束は日本市場において形骸化しつつある。OneUI 7の配信遅延、そして4ヶ月以上にも及ぶセキュリティパッチの放置は、単なる不便さを超え、ユーザーを深刻なセキュリティリスクに晒し、製品価値を毀損している。

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